考察

次への一歩へつなげられるか!失敗したときにどんな言葉をかけるか

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失敗したときにかける言葉が難しい

子どもや生徒というのは、私たちが思っている以上に言葉、そしてそこに隠されているメッセージというものに敏感です。

成功したときにほめるという場合には、ほめ方として避けるべきものはあっても、実際にはそれほど難しいことではないと言えます。

それと比べると、失敗したときにどんな言葉をかけるか、そのほうがはるかに難しいと言えます。なぜなら、子ども(生徒)は失敗したことによって、すでにがっくりと落ち込んで、傷つきやすい状態にあるからです。

筆者は、毎年受験で失敗した生徒たちをたくさん見ていますが、未だにその対応がわからないということも、その難しさを示しています。

 

なぐさめる言葉に隠されたメッセージ

子どもや生徒が失敗したとき、親や先生はどんなメッセージを送ればいいのか考えてみよう。

以下に示すストーリーで、あなたがこの子の親だったらどうするだろうか。選択肢から、選んでみてください。

(ストーリーは半分くらいが筆者の実話です。そのあたりも含めて楽しんでもらえればと思います。)

ストーリー

9歳のカオルちゃん(以下、カオル)は、初めての空手の競技会に向かうところでした。 自分で言うのも何だけど、当時肉付きもよく、たくましかったので自分は空手にぴったりだと思っていたし、空手が好きでもありました。もちろん、競技に出場することに不安はあったものの、空手はそれなりに得意なので、きっとうまくできると思っていました。そのため、入賞してカップをもらったら、部屋のどこに飾ろうかしら、なんてことまで考えていました。最初の種目は「型」、これは2人1組の勝ち抜き戦で、カオルは一番目に演技をしました。自分としてはなかなかの出来だったのですが、相手よりも早く「型」が終わってしまいしばらく待つことになってしまったり、点数の付け方がよくわかっていないということもあり、その場で負けてしまいました。あとで、「組手」の試合もあり、健闘しましたが、入賞に手は届かず、結局一日を終えて賞状すらもらえなかったカオルは、すっかり落ち込んでしまいました。

選択肢

さて、あなたがこのカオルの父(母)親だったらどうするでしょうか。下から、選んでみてください。

①おまえがいちばんうまいと思う、と言う。

②おまえが勝つべきなのに判定がおかしい、と言う。

③空手で勝とうが負けようがたいしたことはない、となぐさめる。

④おまえには才能があるだろうから次はきっと入賞できる、と言う。

⑤おまえには才能があるだろうから次はきっと入賞できる、と言う。

 

各選択肢のマインドセット的解釈

では、この5つの反応をマインドセットの観点からとらえて、そこに隠されているメッセージを考えてみましょう

少し辛口な解釈を書いていますが、それが必ずしも間違いというわけではないので、過去の自分の行動を後悔して重く受け止めないようにしてください。

一種の占いのような感覚でみてもらえればいいと思います。

 

①おまえがいちばんうまいと思う、と言う。

この選択肢では、そもそも本心を偽っています。1位でないことは、あなた自信がよくわかっているし、子どもだってそんなことはわかっている。こんな言葉をかけられても、挫折から立ち直ることもできなければ、上達することもできないということになります。

 

②おまえが勝つべきなのに判定がおかしい、と言う。

この選択肢では、問題を他人のせいにしてしまっています。入賞できなかったのは、あくまでも本人(カオル)の演技に問題があったからで、審判のせいではありません。このような言い方をすると、わが子が自分の落ち度を他人のせいにする人間になりかねません

 

③空手で勝とうが負けようがたいしたことはない、となぐさめる。

この選択肢は、少しやってみてうまくできないものはバカにしてかかることを教えています。成功するには、失敗しても諦めずに挑戦し続けることが重要なはずです。

 

④おまえには才能があるだろうから次はきっと入賞できる、と言う。

この選択肢は、5つの選択肢のなかである意味ではもっとも危険なメッセージが含まれています。才能がありさえすれば、おのずと望むものが手に届くというのでしょうか。今回の競技会で入賞できなかったカオルがどうして次の試合で勝てるのでしょうか。

 

⑤おまえには才能があるだろうから次はきっと入賞できる、と言う。

この選択肢は、この状況で言うにはあまりに冷酷な言葉のようにも思われます。あなたなら、こんなふうには言わないのではないかと思います。

しかし、しなやかマインドセットとしてのメッセージはこのような趣旨のものが正解になります。

 

次へと繋げる!理想のなぐさめの言葉とは

つまり、実際にかける言葉としては以下のようなものがよいとされます。

「カオル、気持ちはわかるよ。入賞をめざして思い切り演技したのにだめだったんだから、そりゃあ悔しいよな。でも、おまえにはまだ、それだけの力がなかったんだ。あそこにはおまえよりも長く空手をやってる子や、もっと懸命に頑張ってきた子が大勢いたんだ。本気で勝ちたいと思うなら、それに向かって本気で努力しなくちゃな」

これは、カオルに本当のことを告げただけでなく、失敗から何を学ぶべきか、将来成功を勝ち取るためには何をしなければならないか、ということも教えたというわけなのです。

 

まとめ

失敗したときにかける言葉という本当に難しいものです。なんとか優しいなぐさめの言葉をかけたいところですが、しかし、まやかしのほめ言葉でなぐさめたりしても、将来の失望を招くだけです。

次に、上手に繋げるためにはかける言葉が重要なのです。

この記事が、少しでもその言葉の参考になればと思います。

 

<参考文献>

マインドセット「やればできる! 」の研究
Posted with Amakuri at 2017.9.17
キャロル・S・ドゥエック
草思社

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