考察

やる気も成績もほめ方次第!成功したときにどんな言葉をかければいいのか

投稿日:

 

子供や生徒は、あなたの言葉の裏にあるメッセージに敏感

子供や生徒というのは、私たちが思っている以上に、私たちの言葉、そしてその裏に隠されているメッセージというものに敏感です。

私たちは親や先生として、子供や生徒にかける言葉、その裏に隠されたメッセージについて考えておくことが重要です。

なぜなら、あなたがかけたその一言がその子の今後の人生を大きく左右してしまうかもしれないからです。

今回は『ほめ方』にスポットを当て、一般に考えられるほめ方とその裏に隠されたメッセージについて考えて見たいと思います。

 

ほめ言葉に隠されたメッセージ

突然ですが、次の3つのほめ言葉の裏に隠されたメッセージはどういったものでしょうか。ここで、一度改めて考えてみましょう。

①「そんなにはやく覚えられたなんて、あなたはほんとに頭がいいのね!」

このほめ方では、「はやく覚えられた」=「頭がいい」ということを言っています。たしかに何気ないほめ方ですし、言ってしまったこともあるような気がします。

この言葉の裏に隠されたメッセージは「はやく覚えられなければ、頭がよくないんだ」ということです。

本来なら、覚えることにスピードなんて関係ないし、「はやい」から「頭がいい」ということにはならないはずです。

②「あの絵を見てごらん。あの子は将来のピカソじゃないだろうか!」

このほめ方では、「絵がすばらしい」=「ピカソ」=「天才」ということを言っています。

この言葉の裏に隠されたメッセージは「なにか難しいものを描こうとしないと、ピカソとは思ってもらえないんだ」ということです。

問題は、「難しいものを描こうとしないとならない」ということで、最初のハードル上がってしまい、絵を描く事に挑戦することそのものも億劫になってしまうということです。あるいは、最初にうまくいかなければ「もう自分はだめだ」ということになってしまうことです。

本当は「ピカソ」だって、最初から「天才」じゃあなくて、苦労をしてきたはずなのです。

③「あなたはすごいわ!勉強しなくてもAが取れたんだから!」

このほめ方では、「勉強しなくても成績がいい」=「すごい」ということを言っています。

この言葉の裏に隠されたメッセージは「勉強しないほうがいい。さもないと、すごいとは思ってもらえないんだ」ということです。

「そんなはずはない」ということはよく考えてみれば当然なのですが、しかし、字面だけを考えるとたしかにこういうメッセージになってしまうというのもうなずけます。

 

さて、ここまで3つの『ほめ方』とそのメッセージを見てきました。

いずれの『ほめ方』にも隠されたメッセージに含まれているのは、頭の良し悪しや才能の有無にこだわるということです。

そして、この特徴はまさに硬直マインドセットの人たちの特徴であり、つまり挫折しやすい人たちの特徴ではないでしょうか。

すなわち、こういったほめ方をされていると硬直マインドセットが刷り込まれてしまうということになるわけです。

マインドセット「やればできる! 」の研究』のキャロル・S・ドゥエックは、7回にわたる実験の結果、頭の良さをほめると、学習意欲が損なわれ、ひいては成績が低下したとしています。

私は、この『ほめ方』にまつわる部分がのび太くんが勉強もスポーツもできない理由に通じるものがあるのではないかと考えています。

 

なぜ、才能をほめると成績が下がるのか

なぜ、才能をほめると成績が下がるのでしょうか。

ほめられてうれしいのであれば、次もほめられるようにがんばるはずではないのでしょうか。それとも、ほめられてもうれしくないのでしょうか。

いや、子どもはほめられるのが大好きです。特に、頭がいい、才能があると言われると天にも昇る気分になります。

しかし、それはほんの一瞬にすぎないのです。

思わぬ障害に出くわしたとたん、それまでの自信はどこかへいってしまい、すっかりやる気をなくしてしまうのです。

成功するのは賢いからであるとすれば、失敗するのは頭の悪いせいという硬直マインドセットに縛られてしまうからです。

 

努力と成長に注目したメッセージを送ろう!

では、子どもや生徒の『ほめ方』としてどんなメッセージを送ればいいのでしょか。

知的能力や才能を愛でるような『ほめ方』は避けたほうがいいというのは前述の通りです。

そうなると、ほめるべきなのはその人の才能ではない部分、つまり努力を褒めればいいということになります。

粘り強く勉強や練習を重ねて何かを成し遂げたことを褒めればいいというわけです。さらに加えて、問いかけの仕方を工夫することで、子どもの努力や選択を評価する気持ちを伝えることもできるのです。

 

最初の『ほめ方」の例をより良い『ほめ方』に訂正すれば、

①「あら、簡単すぎたかな。時間をムダにさせちゃったね。今度はもっと実になることをやろうか。」

②「あの絵、とてもきれいな色使いをしているね。きっとピカソの絵を見て、頑張って勉強したんだね。」

③「勉強しなくてもAが取れたなんてすごいね。集中して授業を受けることができていたんだよね。えらいぞ。」

というような感じになります。

子どもの研究に生涯を捧げたとされるアメリカの心理学者ハイム・ギノットも『ほめるときは、子どもの特性ではなく、努力して成しとげたことをほめるべきだ』という結論に達したそうです。

付け加えておくと、やってしまいがちな『ほめ方』ですが、「あら、ずいぶんはやくできたのね」とか、「まあ、ひとつも間違えなかったんじゃない」と言うと、「スピードや完璧さを高く評価している」というメッセージが伝わってしまうといいます。

そうすると、「すばやく完璧にできなければ賢いと思われるのなら、難しいことには手を出すまい」と思うようになるのです。この考え方は、難しいことに挑戦するということから遠ざけてしまうことになります。そうすると、結果として、成績は上がらないということになるのです。

 

まとめ

以上見てきたように、『ほめ方』ひとつで子どもや生徒の勉強対する意識がまったく変わってしまうのです。

親や先生は、この事実をしっかりと認識して「ほめる」ということが重要です。

そのことを知らなければ、あなたの一言がその人の人生を変えてしまうということもあるというわけなのです。

 

<参考文献>

マインドセット「やればできる! 」の研究
Posted with Amakuri at 2017.9.16
キャロル・S・ドゥエック
草思社

-考察

Copyright© 脳と心の勉強部屋 , 2017 All Rights Reserved Powered by STINGER.