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自分を省みることができていますか?「自分のことがよく見える人」のほうが出世しやすい理由

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自分を省みる

 

「自分のことがよく見える人」

「自分のことがよく見える人」のことを「セルフモニタリングが高い人」といいます。セルフモニタリングが高い人は、自分の行動を省みる傾向があるので、人からどう見られているかを気にして、まわりの状況に合わせて振る舞います

一方、「自分のことがよく見えていない人」のことを「セルフモニタリングが低い人」といいます。セルフモニタリングの低い人は、自分の行動を省みない傾向があるので、人からどう見られているかということを気にせず、まわりの状況よりも自分の価値観に従います

セルフモニタリングの高さを簡易的にチェックするための方法としては、「目の前にいる人から『指で額にアルファベットの“Q”を書いてください。』と言われた」と想像します。書いてみてください。

そのとき、「“Q”の尻尾がどちらを向くか」ということがポイントです。

どうなりましたか?

「“Q”の尻尾」が自分の右 ⇒つまり、相手からは逆に見える
セルフモニタリングが低い

「“Q”の尻尾」が自分の左 ⇒つまり、相手からは正しく見える
セルフモニタリングが高い

ということになるそうです。

そして、実はセルフモニタリングが高い人のほうが、低い人よりも組織内で出世しやすいことが、研究によって示されています。

 

「セルフモニタリングの高い人」VS「セルフモニタリングの低い人」

さて、ここで組織における「セルフモニタリングが高い人」と「セルフモニタリングが低い人」の特徴を比較してみます。

「セルフモニタリングが高い人」
⇒自分のことがよく見えているので、周囲の変化に敏感で、様々な役割を果たす。
⇒・管理職として、高い評価を得やすい。
・仕事で失敗した時に自らを正当化し、他者に責任を押しつけることにも長けている。
・妥協と連携を通じて、対立を解決しようとする。
・社内の大勢の人間と人脈を築く傾向がある。

「セルフモニタリングが低い人」
⇒自分のことがよく見えていないので、周囲の変化に気がつかないことがある。自分の信念に従う。
⇒・批判の矛先をうまくかわすことができずに、失敗の責任を全面的に被ることがある。
・誠実だとみなされることがある。
・職場で対立が生じたとき、強硬な態度をとり、自らの主張を曲げない。
・職場の狭い範囲内で少数の人と深い友好関係を築く傾向がある。

これらのことを見ても、「セルフモニタリングの高い人」のほうが現代の組織において「有用」とされそうなことは見て取れると思います。

 

『カメレオンは出世できるか?』

カメレオン

マーティン・キルダとデビッド・デイによる『Do Chameleons Get Ahead ? The Effects of self-Monitoring on Managerial Careers.』(「カメレオンは出世できるか?セルフモニタリングが昇進に及ぼす影響」)という研究で、セルフモニタリングの高さと昇進の関係が示されています。「カメレオン」というのは、周囲の状態に合わせることができる「セルフモニタリングの高い人」のことを指します。

さて、この研究では経営大学院の学生のセルフモニタリング・スコアを入学時に測定し、卒業後の社会的成功具合を5年かけて追跡調査を行いました。

その結果、「セルフモニタリングが高い人」に明確なパターンが見られました。

そのパターンとは、
・5年の間、転職によって昇進の可能性を高めている。
・同じ会社で勤め続けていても、昇進の割合が高い。
というものです。

この理由としては、「セルフモニタリングの高い人」は「昇進の可能性を高めるために、自分が上の役職にふさわしい人間であることを示すように振舞うから」とされています。

ただし、このために昇進したいという態度が露骨だと批判されることもあるそうです。

また、一方で「セルフモニタリングの低い人」は、

・会社への強い忠誠心を示し、昇進にふさわしいような振る舞いを示そうとしなかった

とされています。

また、柔軟性のなさが組織での反発を招くこともあるともされています。

つまり、結論としては「カメレオンは出世できる」ということです。

 

まとめ

行動やコミュニケーションにおけるセルフモニタリングの高さの影響を、より簡単にまとめると、

「セルフモニタリングが高い人」
「実用性」を重んじる
⇒柔軟性や迅速さは人間関係を円滑にしたり、社会的な成功につながる。
⇒しかし、パートナーや組織へのコミットメントが不足したり、核となる自分がないような感覚を覚えたり、周りから八方美人とみなされることもある。

「セルフモニタリングが低い人」
「原則」を重んじる
⇒一貫性のある行動やコミットメントの強さによって、他者や組織と長期的な関係を持ちやすい。
⇒しかし、変化の多い状況にうまく適応できずに、社会的な成功を手にしにくくなるということがある。

ということになります。

それぞれにそれぞれのメリット、デメリットがあるわけですが、重要なことは人間は完全に2つのパターンに分離されるというわけではないということです。セルフモニタリングの高さの影響は、もちろんあるかもしれませんが、自分の性格を決めるのはそれだけというわけではありません。ただ、このような「傾向がある」ということは知っておいて損はないと思うのです。

 

<参考文献>

自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義
Posted with Amakuri at 2017.8.17
ブライアン・R・リトル
大和書房

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