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脳科学的に、身体の仕組みはダイエットに抵抗する。体重を減らしたつもりが変化していない理由。

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リンデン教授の『快感回路』(河出書房新社)という本の第3章「もっと食べたい」に、肥満についての脳科学的な見地が書いてあったので紹介させていただきます。
本書では、分子レベルの話や脳の構造について詳しく触れられていますが、よりライトに読んでいただくため、ここではできるだけ簡単にまとめます。

詳しく知りたいという興味があれば、ぜひ本を読んでください。

いかにして、満腹感は脳に伝わるか

ほとんどの人は、普通に食事をしていると体重はほぼ一定になります。誰しもそういう経験があるはずです。

「昨日は、一回ご飯を抜いてみた。だから、ちょっとは体重が減ってるはず♪」と思ったのに、翌日にはほとんど変わっていない。なんてことは本当によくある話です。

これは他の多くの哺乳類でもみられることらしく餓えたり、食べ過ぎたりしたとしても、そのあとに自由に食べられる環境に戻ると、すぐに体重が元に戻るのだそうです。
そういえば、うちの犬もエサを少々減らしたところで体重は一向に減る気配がありません(笑)。なぜかコロコロしています。
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ここから、哺乳類の身体は食べた量ではなく、食べたもののカロリーに基づいて食べることをコントロールしていると考えられるわけです。
つまり、脳は身体から体重の指標となる何らかの信号を受け取り、それをもとに食欲やカロリー消費を調整しており、それによって厳密に体重が維持されていると考えられます。

その「信号」の仕組みは、1994年にロックフェラー大学のジェフリー・フリードマンらによる突然変異マウスを使った実験で明らかになりました。
簡単に言えば、脂肪の細胞だけから分泌されるたんぱく質(レプチンといいます)があり、これの濃度が血液を通して脳に伝わることで身体は体重を知っているというのです。

脂肪細胞が多い→分泌されるたんぱく質が増える→脳「あ、体重が増えているんだな!」というように認識しているわけです。
なるほど、これならたしかに体重の増減を正確に認識できそうです。

それで、体重か増えていることを認識した脳は、食欲を抑制し、カロリー消費を増大させることになります。すごい仕組みですね。逆の仕組みも同じで、体重が減っていると食欲は増して、カロリー消費が減るというわけです。

痩せたい人にとって恐ろしいこと

体重が増えたら、食欲は抑制され、カロリー消費は促進される。反対もしかり…

だとすれば、体重を減らせば減らすほど、食欲は上がって、カロリー消費は減っていく。
つまり、ダイエットをすればするほど、がんばればがんばるほど、身体はそれに抵抗するということでしょうか。

そんな私たちの心配をよそに、リンデン教授は冷たく(?)言い放ちます。

「失われる体重が大きければ大きいほど食欲は強くなり、エネルギー消費は抑えられる。これは避けがたい真実なのだ。(中略)大幅に減らした体重を長期的に維持するというのは、たいてい非常に難しいことだ。脂肪吸引でさえ一時的な解決にしかならない。」

<参考文献>

快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか (河出文庫)
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河出書房新社
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